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最優秀棋士賞を占う一局として 羽生善治竜王対藤井聡太五段戦の意義(AbemaTIMES)

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2018.02.14
 世紀の一戦が近づいている。2月17日、第11回朝日杯将棋オープン戦準決勝で羽生善治竜王(47)と藤井聡太五段(15)による公式戦初対局が実現する。

 昨年末、悲願の永世七冠に到達して国民栄誉賞を受賞することになる王者。デビューから史上最多の29連勝を記録し、史上初の中学生五段となった少年。勝つのはどちらか―。将棋界という範疇を超越した国民的な、歴史的な一局になる。

 当然、最大の関心事となるのは勝敗だが、一局が持つ意味、意義としても非常に大きな将棋になる。

 まず、藤井五段にとっては一般棋戦初優勝が懸かった一局になること。もちろん、準決勝で羽生竜王を下したとしても、決勝で久保利明王将(42)と広瀬章人八段(31)という、いずれもA級棋士(約160人の現役棋士のうち、名人挑戦を懸けて争うトップ11人)である実力者の勝者に勝たなくてはならないというハードルは残るが、羽生竜王に勝たないことには挑む権利すら手に出来ない。

 NHK杯や銀河戦などを含む「一般棋戦」は竜王戦、名人戦などの8大タイトル戦とは別カテゴリーの公式戦だが、優勝は極めて大きな意味を持つ。特に朝日杯は全棋士参加棋戦。新人王戦や加古川青流戦など若手を対象とした一般棋戦とは異なり、将棋界の頂点に登り詰める意味で、難易度はタイトル獲得と変わらない。

 また、15歳6カ月の藤井五段が優勝すれば、あの加藤一二三九段(78)が1955年に「六・五・四段戦」(現在は廃止)を制した時の15歳10カ月という年少記録を63年ぶりに塗り替えることになる。さらに「五段昇段後の一般棋戦優勝」の規定を満たして、一気に六段まで昇段するための貴重な機会でもある。

 一方の羽生竜王にとっても大記録が懸かる勝負になる。現在、一般棋戦優勝回数は44回で大山康晴十五世名人と並ぶ史上最多タイ。優勝して単独1位となれば、輝ける棋歴に新たな勲章が加わることになる。

 そして、言及されることは少ないが、事実上、最優秀棋士賞を占うめぐる争いにもなる。 毎年度、棋戦主催紙の担当記者によって構成される東京将棋記者会の投票によって「将棋大賞」が選考されているが、当該年度で最も優れた棋士、つまりMVPに贈られるのが「最優秀棋士賞」である。

 過去21回も同賞を受けている羽生竜王は今年度、棋聖を防衛し、竜王を奪取しているが、王位、王座を連続失冠している。一方の藤井五段は対局数(64局)、勝利数(53勝)、勝率(0.828)、連勝(29連勝、いずれも2月13日現在)と記録部門四冠を独占しているが、タイトル戦への登場は叶わなかった。

 双方共に前人未到の記録を樹立しているだけに、評価は割れる可能性がある。その場合、年度末の公式戦初対局における勝敗はインパクトが大きい。確実に判断材料となり、場合によっては決め手にもなり得る。

 羽生竜王は1988年度、NHK杯で大山康晴、加藤一二三、谷川浩司、中原誠という4人の名人経験者を破って優勝。史上最年少の18歳で、史上初のタイトル未経験者として最優秀棋士賞に輝いている。ちなみに同年の羽生竜王は記録部門四冠(80局、64勝、0.800、18連勝)を独占している。歴史は繰り返されるのだろうか。

 先月の竜王就位式に先立ち、2人は並んで座り、抱負を語った。

 羽生竜王 将棋って同じ条件でやるものなので対局が始まってしまえば五分と五分。プレッシャーはあると思いますけど、普段と変わらないように指すつもりです。

 藤井五段 勝負の上では対等という気持ちで全力で戦いたいと思います。

 いつか振り返った時、棋史において大きな意義を持つ一局になるだろう。
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