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消費もブロックチェーン化?「メルカリ時代」の購買行動

  • 経済
2018.04.17

4月16日の東京・渋谷。テック系企業のイベントが頻繁に開催されるイベントスペースに、大勢の聴衆が入っていきます。

彼らのお目当ては、フリーマーケットアプリ大手のメルカリが開いたセミナー。お題は「消費変貌“売ることを前提にモノを買う”フリマアプリ時代の消費行動とは」です。

もはや多くの若者にとって生活の一部のようになっている、メルカリをはじめとしたフリマアプリ。その存在は日本の消費にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。イベントの模様を振り返る中から、「メルカリ時代」の購買行動を探ってみます。

消費者の行動はどう変わったのか

この日のイベントには、慶應義塾大学の山本晶准教授、編集者でgumi-gumiのCEOを務める軍地彩弓さん、ファッションデザイナーのハヤカワ五味さん、メルカリの小泉文明社長の4人が登壇。2部構成で1時間半にわたって議論が交わされました。

特に示唆に富んでいたのが、山本准教授と小泉社長がディスカッションを繰り広げた第1部です。冒頭では、メルカリが全国のフリマアプリ利用者と非利用者それぞれ500人ずつを対象に実施した意識調査の結果を、山本准教授が分析しました。

調査結果については、メルカリのホームページに詳細が掲載されていますので、そちらを参照してください。この結果を踏まえて、山本准教授はフリマアプリの登場前後で消費者の行動は下表のように変化したと指摘します。

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メルカリが実施した意識調査なので、「中古品を購入する機会が増えた理由」として「安くお得に買えるから」という回答がフリマアプリ利用者で2番目に、非利用者だと最も多いにもかかわらず、それが目立たない表記になっている点などは注意が必要ですが、それでも若者を中心として消費行動に変化が見られ始めていることは確かなようです。

商品売買も脱・中央集権?

しかし、この調査結果以上に興味深かったのは、その後の山本准教授と小泉社長とのディスカッションでした。

議論の終盤、山本准教授が「これまで消費者はひたすら買い手でした。それがフリマアプリの登場によって、企業の持っていたパワーが消費者にシフトしています」と分析。そのうえで、産業革命以前、商店主はほとんどが個人であったことを考えると、実は人類の歴史上、B to Cの時代のほうが短いのではないか、と指摘しました。

これを受けて、小泉社長は「Bはこれまで取引における信頼を担保していました。しかし、メルカリは買い手と売り手が相互にレーティングを持っています。これをお互いがチェックすることで、信用を担保しています。これまでBである資本家が信用を担保していたのと同じことが起きています」と応じました。

この概念と非常に近いと感じられたのが、仮想通貨の要素技術であるブロックチェーンです。法定通貨の場合、国や中央銀行がその価値を保証することで通貨たりえるわけですが、ブロックチェーンは取引参加者が相互に監視しあうことで信用を担保するという立て付けです。

「これまでは作り手と消費者がタテの関係でしたが、フリマアプリの登場以降、売り手と買い手がヨコに関係になりました」。小泉社長がこう指摘するように、モノの取引における売り手と買い手の関係は垂直的なものからフラットなものへと変化しつつあるのかもしれません。

メルカリ時代に企業が求められること

このように消費行動が変化する中で、企業に求められているものも変化していると、山本准教授は分析します。1つは、中古品市場でさらにシビアになる消費者の厳しい目に耐えられる良いものを作ること。もう1つは、再販されることを前提にして、製品やサービスを設計していく必要があることだといいます。

たとえば、メルカリに出品する際、本来のものとは違うボタンが付いていると、売価は下がってしまいます。こうした事態に対処するため、企業はあらかじめエキストラのボタンを付けて販売するという動きが出てくるかもしれません。また、修理などのアフターサービスを強化するという展開も考えられます。

一方、小泉社長は「メルカリが出てきたことで、ハイブランドが買われやすくなったと言われるようになった」と話します。10万円の定価のコートも、これまでは手が出なかったけれど、メルカリで5万円で売れるようになったので、一気にハードルが下がったというわけです。

こうした点を踏まえて、「ストーリーや理念があるブランドは発売から何十年も経って、値段が変わらないどころか、むしろ価値が上がることもありえます。逆に、そうしたものがないブランドは2次流通で価値が上がらず、最終的に1次流通でも買われなくなる可能性もあります」(同)と指摘します。

フリマアプリの隆盛によって、自動車や不動産では当たり前だった2次流通が、アパレルの世界でも本格的に拡大し始めています。企業側には再販されることを前提とした製品づくりやサービス設計が求められそうです。

これは裏を返せば、1次流通の価格に惑わされることなく、その商品が持つ本来的な価値を見抜くリテラシーが消費者にも求められる世の中になろうとしていることを示しているのかもしれません。

(文:編集部 猪澤顕明)

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